殺戮都市

来るっ!


轟音を上げて迫って来る拳。


一直線に、俺の顔面目掛けて。


それを首を傾けて回避するけど……顔が引っ張られる。


拳の威力に、皮膚が負けていると言うべきか。


当たってもいないのにこの威力。


「チッ!」


お互いに鼻息すらも感じ取れるほど顔が接近している。


この間合いはダメだ!


中川のように連続ボディブローを食らえば、俺なんかだと簡単に爆散してしまう。


そう考えて、素早く後方に飛び退いた俺に、追い打ちの左フック。


それが放たれたのは俺が今までいた場所で、飛び退くのが遅れていたらまともに食らっていたかもしれない。


「良い反応だ!少年!」


堀田の死角、左フックを繰り出した直後の左からの接近。


恵梨香さんはタイミングを見計らっていたのだろう。


その飛び込みには、何の迷いも感じられなかった。


素早く振り抜かれたトンファーが、堀田の肩を目掛けて襲い掛かる。


タイミングも速度も申し分ない……はずだったのに。


左フックを空振りした勢いを利用して、身体を回転させた堀田は、回し蹴りを恵梨香さんの頭部に放ったのだ。