殺戮都市

「見逃してくれそうにもないな。中川、私と少年でやつの足を止める。その隙に派手な一撃を頼むぞ」


「おう、任せろ。どでかい花火を打ち上げてやる」


俺と恵梨香さんで足止めか……死なないように戦うのは出来そうだけど、こんなに上手いやつの足を止めるのは難しいんじゃないか。


だけど、そんな事を考えてる暇はないな。


足止めなんて消極的な戦法じゃなくて、殺してしまえば問題ないだろ。


俺達から離れ、ファイティングポーズを取る堀田。


いかにも余裕といった様子を見せていて、二人を相手にするのも慣れているような雰囲気だ。


「行くぞ少年!」


その恵梨香さんの合図と共に、俺は駆け出した。


確かにあのメリケンサックは、斎藤の物とは比べ物にならないくらい強い。


だけど、それを扱う人間はと言うと……不思議と、斎藤ほどの脅威は感じなかったのだ。


「二対一か、燃えるぜ!」


そう言って、俺に向かって牽制の左ジャブを放つ。


だけどそれは当たらない。


日本刀の刀身で防いで、その場に立ち止まった俺は、次に放とうとしている右の拳に注意を向けた。


グッと握り締められた拳が……俺に放たれる。