殺戮都市

……なんて、考えてる場合じゃない。


すぐさま堀田に進路を向けて、中川から引き剥がそうと駆け寄った。


だが、それに気付いた堀田は、素早く振り返ってボウガンを向けたのだ。


明美さんが持っていた物とは違う……けど、当たるとヤバい!


両手に一つずつ持たれたボウガンから、俺と恵梨香さんにボルトが放たれる。


それは俺の頭上に逸れたけど、一瞬足を止めるには十分な物だった。


その隙に、中川から離れて俺達との距離を取る。


「危ねえ危ねえ。でもまあ、逃げ回るだけなら何とかなりそうだな、お前ら相手ならよ」


極めて動きが速いわけじゃない。


なのに、隙があるようで隙がなくて、攻防が一体となっているから次の動作が読みにくい。


今のボウガンのように、突然別の武器を出されたら警戒してしまう。


それがレアリティの低い武器でも効果は絶大。


俺は、その術中に上手くハマってしまって、攻める事に慎重になっていた。



「おぉ、いてぇ。小技で攻めないでよ、男なら一発ドカンと大技狙いだろ」


堀田に攻められ、地面に膝を付いていた中川が立ち上がり、肩に乗せていたウォーハンマーを両手で握り締めた。