殺戮都市

ナイトの右前脚に日本刀が触れる。


その瞬間、日本刀から俺の頭の中に何かの映像が流れ込んできたような気がした。


でも、それを気にしている場合じゃない。


スパッと、前脚を切断した日本刀。


ナイトがそれに気付いた時にはもう遅い。


大きな身体を支えていた脚が一本失われた事で、グラリと前のめりになる。


まだ行ける!


そう判断した俺は、刃を返して今度は左前脚に日本刀を滑らせた。


しかし、流石にそれは盾で防がれ、俺の日本刀は盾に食い込んで止まってしまったのだ。


押しても引いても抜けそうにない。


それを見て、強引に俺の手から槍を振りほどいたナイト。


槍を短く持って、目の前にいる俺に目掛けてその先端を向けた。


まずい!










……と、以前の俺なら思っていたかもしれない。


こんな街で武器から手を離すのは心細くて、ついつい強く握ってしまうけど、無理に引き抜くメリットなど何もないのだ。


それに、戦っているのは俺だけじゃない。


盾に食い込んだ日本刀から手を離し、再び空間から引き抜いた俺は、突かれた槍をそれで逸らした。


「見事な囮だったぞ、真治少年!」