殺戮都市

あの日、逃げる事しか考えられなかった相手。


殺す為じゃなく、殺されない為に戦った相手が、目の前にいるのだ。


「面白い、どれくらいやれるようになったか、ためすには丁度良い相手かもしれないな」


フフッと笑って、ナイトと対峙する恵梨香さん。


その隣に歩を進めた俺は、日本刀を構えた。


「ん?どうした少年。こいつとは私が戦うから、少年は戦わなくてもいんだぞ?」


「こいつは……こいつからはもう逃げたくないんです!逃げる事しか出来なかったあの時とは違う!」


それは、俺のただの意地でしかなかったけど、恵梨香さんはそんな俺を止めようとはしなかった。


「そうか、では一緒に戦おう。二人でやれば、どんな敵だって倒せるさ」


「はい!」


その言葉で、俺は肩の荷が下りたような気がした。


恵梨香さんより強くなって、葉山と戦って。


いつの間にか恵梨香さんを守らなければと肩肘を張っていたのかもしれない。


それが今、こうして同じ立場で戦えるようになって、喜びさえ感じる。


「グルルルルル……」


槍と盾を構え、俺達に迫るナイト。


これでやられるなら、俺達はそこまでだと言う事だ。


単騎でナイトを殺せる松田とは、とても対等に話など出来そうにないから。