殺戮都市

恵梨香さんが強くなると言う事は悪い事じゃない。


むしろ俺としては歓迎すべき事だけど、問題はそれが恵梨香さんだけに発生した事象じゃないという事だ。


この街にいる全ての人間に同じチャンスがあって、レアリティが高い人間との差を埋める事が出来るのだ。


「ど、どうですか恵梨香さん。進化したトンファーは」


戻って来た恵梨香さんに尋ねると、ポーン相手では良く分からなかったのか、首を傾げる。


「どうだろうな。確かに破壊力は上がっているようだが、雑魚相手では良く分からないと言うのが本心だな」


まあ、言いたい事は分かるかな。


例えば、ゴキブリを丸めた新聞紙で叩く時、50%の力で叩いても、100%の力で叩いても、殺す事には変わりないのだから。


以前のトンファーとの差を比べようと思ったら、もっと強い敵じゃないと判断のしようがないというわけだ。


「じゃあ、あいつをやってみるか?ポーンをぶっ殺されて、相当頭にきてるみたいだぜ?」


そう言って中川が指差した先には……槍と盾を構えたナイトが、俺達を睨みつけていたのだ。


ドクンと俺の心臓が音を立てたのが分かる。


見た事のある形状の槍と盾……そいつは、俺が始めて会ったナイトだったのだ。