殺戮都市

そして俺達は外に。


怪物達が屍肉を求めて動き出したのか、地面や建物に血痕だけが残っていて、死体は見当たらない。


「あの時を思い出すな。少年の力と覚悟を試す為に私が先に行ったが、今ではそんな必要もない。立派に成長してくれた」


光の壁添い、中央部に近い道路に立ち、バベルの塔を見上げた。


いずれここに行く。


この街のどこにいても見えて、存在感があるはずなのに、誰も行こうとしない場所。


恵梨香さんが言ってくれなければ、俺も行こうともせずに戦いに身を投じていたかもしれない。


「俺は今でも変わりません。一人じゃ何も出来ないただのガキですよ」


「一人じゃ何も出来ないか。だったら私と同じだ。大丈夫、私が隣にいるから」


そう言ってくれるだけで、俺の心は救われる。


理沙を失った事でポッカリと空いた心の穴を、埋めようとしてくれているようで。


「ありがとうございます。行きますよ」


「ああ、行こう」


二人で歩き出した北軍への道。


中央部に入ったと思うけど、怪物の姿は見えなくて、スムーズに進む事が出来る。


だけどそれも、バベルの塔の近くまで。