殺戮都市

恵梨香さんが泣き止んだのは、それから20分近く経ってから。


「……すまなかったな、少年。みっともない所を見せた」


俺の身体に回した腕をほどき、指で目をこする。


なんだか、見てはいけない恵梨香さんの一面を見てしまったようで、少し気が引ける。


「い、いえ……落ち着いたなら良いんです」


どっちがどっちを慰めているんだか。


だけど、抱き締められている間、安心感に包まれていたのは事実で、俺も救われたような気はしていた。


「私が慰めるつもりだったのにな。逆に少年に慰められるとは」


「いえ、俺もなんとなく落ち着けましたから」


ちょっと気まずいよな。


やっと泣き止んだ女性に、どんな話をすれば良いのか。


「フフッ。本当に少年はこの街には向いていないな。普通はあんな状況になれば、押し倒して好きな事をするだろうに。そんなに私には魅力がないか?」


泣いてたと思ったら、変な事を言い出したぞ。


似たような事を今までに何度も言われてるけど、俺は誘われてるのか?


「そ、そんなわけないじゃないですか。でも、恵梨香さん泣いてたし……」


「……空気を変えようと冗談を言っただけなんだけどな。そんなに真面目に答えられると困るな」