殺戮都市

ただ闇雲に、ブンブンと包丁を振り回すだけで、どこを狙っているというわけでもない。


俺よりも長くこの街にいるのに、戦いはまるで素人。


以前、ホテルで出会った時に一緒にいた男。


あいつもまた理沙を襲ったのだろう。


だけど、俺に心配させまいとしてそんな事は言わなかったんだ。


何も知られないうちに別れてしまおうとしたんじゃないのか。


そうでないなら、あの俺が理沙を守っていたはずだ。


「お願い!死んでよ!死んで!!」


悲痛な叫びと共に、理沙が俺に襲い掛かる。


ダメだ……斬れない。


襲って来るやつは誰であっても殺すと思っていたけど、理沙だけは。


攻撃を回避しながらも、どうすれば良いかを考え続ける。


そんな中、俺は右手の異変に気付いた。


日本刀が……時々ピクンと動くのだ。


俺は動かしていないのに、理沙の攻撃に反応するように。


「や、やめろ理沙!何かおかしい!」


「だったら早く死んでよ!」


視線を日本刀に移した瞬間、その隙を突いて理沙の包丁が眼前に迫る。


と、同時に……日本刀が俺の意思とは無関係に動き、右下から左上へと斜めに斬り上げたのだ。