殺戮都市

『中央のホールに来いよ。そこに、お前に会いたいやつが待ってるぜ』


「ふざけんな!恵梨香さんを返せよ!」


こちらからの声なんて聞こえてはいないだろう。


それに、俺に会いたいやつなんて恵梨香さんしかしない。


葉山も間違いなくそこにいるだろう。


十中八九罠に違いない。


だけど、だからと言って行かないわけにはいかない。


俺はスピーカーから聞こえた声に促されるままに、中央のホールへと向かった。


誰も襲い掛かって来ない。


葉山が負けるとは思っていないんだろうな。


今の俺なら勝てる……なんてとても言えない。


圧倒的な強さが恐怖として俺の脳裏に焼き付いているから。


そんな事を考えながらやって来たデパートの中央ホール。


相変わらず二階の照明は消えていて、ホールも薄暗い。


その中に一人、こちらに背を向けてベンチに腰掛けている人物の影。


身体の線の細さから、女性である事が分かる。


「恵梨香さん?早くこっちに!今のうちに逃げましょう!」


きっとそうだと確信して、俺は声を掛けた。


それに呼応するかのようにベンチから立ち上がり、こっちに歩いて来る人影。