殺戮都市

『戦闘が開始されました。キングを破壊してください』


その声が端末から聞こえて、俺を取り囲んでいた人達は戸惑っていた。


目の前の指名手配の高校生をやるか、それとも南軍に攻め込むかと。


「お、俺はこんなやつどうでも良いんだよ!」


「ソウルを稼ぎに来たのに殺されたくない!!」


そんな声がちらほら聞こえて、次第に人が俺から離れて行く。


約半数になった所で、まだ躊躇している様子の残った人に、俺は精一杯のハッタリをかました。


「行かないなら……全員殺すぞ!!俺はお前らなんかどうでも良いんだよ!!」


震える声を何とか絞り出すけど、何とも情けない声で……。


それでも、すでに何十人と殺している俺の言葉は効果的だった。


「ひ、ひいいいいっ!」


次々と俺から離れ、ついにはだれもこの場にいなくなった。


戦闘に参加しようとすれ違う人はいるけれど、ここで何があったという事を気にするやつはいない。


早く南軍に攻め入って、人を殺そうとしているのだろう。


その無関心さは、今の俺にはありがたかった。


そして、運が良かったのは……すぐに戦闘が始まってくれた事だった。