殺戮都市

祈るような気持ちで路地から飛び出して大通り。


そこは、恵梨香さんと落ち合った喫茶店がある通りだった。


見た事のある風景に、少し安心感を覚えたのも束の間。


突然飛び出して来た血塗れの俺を、戦闘準備の為に集まった人達が驚いたように見ていた。


路地で遭遇した20なんて数じゃない。


準備時間が短いというのに、どうしてこんなに集まっているんだ。


「そいつを捕まえろ!!南軍のガキだ!!」


こんな状況で……俺が南軍の人間だと知れ渡ってしまった。


驚いていた人達も、慌てて武器を構え、俺を取り囲む。


戦闘になる事は予想していた。


だけどこの人数が相手か。


日本刀を引き抜き、グルリと辺りを見回してみる。


人の群れが……俺に敵意を剥き出しにして迫って来る。


今は一人で、背後に恵梨香さんはいない。


ここで俺が死ねば……南軍に戻されるだけじゃなく、恵梨香さんがわけの分からない男の慰みものになってしまう!


左腕を負傷していて、人数的にも不利なこの状況で……それでも俺は戦うしかなかった。


遠慮するな……ここにいる全員を殺す気で行くんだ。


俺に武器を向けるやつは全員!