他の怪物達とは形状か違う。


下半身と頭部が皮のない獣で、上半身は皮のない人間のような。


大きさは他の個体と変わらないものの、出来損ないのケンタウルスのような姿。


何より他の怪物と違う所と言えば、手には槍と盾を持っていて、別格だと言う雰囲気を醸し出していた。


それが、背後にいる俺に気付いてゆっくりと振り返ったのだ。


「グルルルルルル……」


唸り声は他の怪物と変わらない。


「なんだ、武器と盾を持ってるだけで、結局ただの怪物だろうが!」


今の俺が、怪物なんかに負けるわけがない。


日本刀を握り締めて、進路を妨害する異形の怪物に斬り掛かった。


だけど……それは、虚しく空を斬り、目の前には槍を引く怪物の姿。


完全に捉えたと思ったのに。


四つの脚で素早く後退した怪物は、退くと同時に反撃の準備をしていたのだ。


鋭い槍の一撃が、俺に向かって放たれる。


頭部に目掛けて一直線に迫る槍を、首を傾けて回避して。


腕が伸びている間に反撃をと、日本刀の柄を握り返した時、俺の身体に強い衝撃が走った。


弾かれるように後方に飛ばされて、俺は地面に転がった。