再び怪物達が蠢く中央部へと足を踏み入れた俺は、その数の多さに若干不安になっていた。


戦闘終了後じゃないから、どこを見ても怪物、怪物、


自動車の陰に隠れて、いつ出るべきかタイミングを伺う。


匂いを嗅がれたら、こんな所に隠れていても意味はないんだけどな。


一匹に見付かってしまえば、他の個体にも気付かれてしまう。


「こいつらを殺すのに躊躇はない……今なら、前のようなミスはしない」


怪我をして、命からがら東軍に辿り着いた前回。


その時と比べると、俺は相当強くなっているはずだ。


二匹や三匹が同時に掛かって来ても、苦もなくあしらえると思う。


今、俺がいる位置からは光の壁の切れ目が見えない。


もっと中心に近付かなければならないのだ。


それにしても……怪物達の集会かと思うくらいの数だな。


誰も中央部から他の軍に侵攻しようなんて考えないはずだよ。


なんて、ずっと考えていても仕方がない。


「よし……行くか」


日本刀を握り締めた俺は、立ち上がって自動車の陰からゆっくりと出た。


まるでゾンビ映画のワンシーンのように、道路に溢れる怪物達が一斉に俺を見る。