「なんだよなんだよー、せっかく話せば逃がしてやるって言ってるのにさ。わざわざ死ぬ道を選ぶって、どうかしてるぜ?」


さっきの、鋭い眼光はどこに行ったのやら。


性格にムラがあると言うか、今の気の抜けたような感じはやりにくさを感じる。


俺の決意や殺気さえものらりくらりと避けているようで。


「だけどまあ……嫌いじゃないぜ、そういうの」


また変わった。


今度は頑として全てを跳ね返すような強い目。


話している間に、襲い掛かれば良かったかな。


などと考えながら、俺は葉山の動きに全神経を集中させた。


きっとこいつは、俺なんかよりもずっと戦い慣れている。


恵梨香さんでさえ、戦闘経験という点では負けるかもしれない。


だけど俺は、いつだってそんなやつらを相手にして来たんだ。


その自信が、この葉山にだって勝てないはずがないと自分に言い聞かせていた。


「そんな位置で良いのかよ。完全に俺の距離だぜ?」


槍と日本刀……離れていては、圧倒的に不利なのは分かっている。


分かっているけど……どう攻めて良いのか、全く頭に行動を描けない。


飛び込めば、確実に槍を合わせて来る。


まずはそれを回避するしかない。