殺戮都市

準備を整え、後は出るだけ。


「お兄ちゃんとお姉ちゃん、行っちゃうの?」


起きたばかりの亜美が眠そうに目を擦って、部屋の入り口に立つ俺と恵梨香さんを見ている。


「すぐに戻って来るから、亜美は優と一緒に待ってるんだぞ。絶対に戻ってくるから」


寂しそうな表情を浮かべる亜美の頭を撫でて、笑い掛けて不安にさせないようにする。


「うん……大丈夫だよね。お姉ちゃんもいつもそう言ってくれたから」


「真治、早く帰って来てね。無事に戻って来てくれたら、おかえりのチューしてあげる」


……寝る前の優の言葉が思い出される。


優は本当に俺の事が好きなのか。


ただ、この街で、欲望剥き出しの男しか出会わなかったら、俺が良く見えているだけじゃないのか。


「あ、ああ……分かった。亜美を頼むな」


そう言い、俺は恵梨香さんと共に部屋を出た。


廊下を歩いて、階段を下りて。


建物の入り口を出て、路地を歩く。


「少年もやるな。分かった……なんて、まんざらでもないようじゃないか。優に惚れたか?」


メットを被っていても分かる、フフッと笑ったのが。


「違いますよ……言ったでしょ?俺は理沙と別れたくないんです。だから……」