「あ、見えた。ほら、あのお店だよ」


しばらく歩いて、亜美が指差した建物。


大通りから一本中に入った道。


そこにあった大型商業施設らしき建物に、俺は不思議な高揚感を覚えた。


元の世界では、良く理沙に付き合わされて買い物に行ってたっけ。


でも……。


「あー、ここはダメだよ。中に入っても、二階には行けないよ。人がいっぱいいてさ、行かせてくれないんだ」


後ろからついて来ていた優が、俺の横まで駆け寄って来て首を横に振って見せたのだ。


「……だから、何でついて来てんだよ。早くどこかに行けよ!お前がいるといつ仲間を呼ばれるかヒヤヒヤしてなきゃならないんだよ!」


優は東軍で、俺は南軍、恵梨香さんは北軍。


優にしてみれば、仲間を呼ぶ絶好のチャンスで、それをしない東軍の人間はいないだろう。


「もう!どこにいても私の勝手でしょ!?仲間はいないって言ったのに、あんた記憶力ないんじゃないの!?」


く……こいつ。


見逃してやったのにこの態度。


同じ女子高生でも理沙とは月とスッポンだ。


まあ、俺のクラスメイトにも似たようなやつはいるから、これが普通なのかもしれないけど。