殺戮都市

「……本気なのか?真治少年」


「本気ですよ。あの子は約束を守ったんだから、殺しません」


優を見逃して、亜美の手を引いて大きな店へと再び歩き出した俺達。


恵梨香さんは不満そうに尋ねるけど、俺の答えは決まっていた。


「全く……お人好しというかなんと言うか。そんな事ばかりしてたら、いつか背後から刺されるぞ?」


縁起でもない事を言うなあ……この街では、それは日常に行われているから笑えないよ。


「一応、人は見てるつもりです。その点では、恵梨香さんだって同じじゃないですか。俺と一緒にいてくれるし、色々教えてくれているでしょ?」


この調子で強くなれば、いつかは恵梨香さんより強くなってしまうんじゃないかと、自分の力に自信を持ち始めていた。


「全く……それよりも少年、さっきからあの女子高生、ずっと付いて来ているぞ?私達の居場所を誰かに教えるつもりなんじゃないか?」


恵梨香さんにそう言われ、振り返って見てみると……優が寂しげな表情を浮かべて歩いていたのだ。


まさかそんな事はしないよな……なんて思ったけど、万が一という事もあるか。


俺と恵梨香さんだけならともかく、亜美がいるんだから危険は避けたい。