殺戮都市

怪物を殺す事にも、鬼頭に立ち向かう事にも抵抗はない。


怪物が振り回す腕を、後退しながら日本刀で斬り付ける。


飛び散る血飛沫。


その腕は真っ赤に染まり、俺の身体にかすりもしない。


中央部を抜ける時は集団で来られたから逃げ回るしか出来なかったけど、一対一ならやれない相手じゃない。


いや、むしろ油断さえしなければ勝てる相手だ。


「ウガアアアアッ!!」


どうやっても俺を掴めない事に苛立ったのか、上から叩き付けるような攻撃を繰り出す怪物。


だけど、それも横に飛び退いて回避すると、地面に突いた腕を、一気に振り抜いた日本刀でなぎ払った。


「グギャッ!?」


怪物でも痛みを感じるのか、切断された腕の断面を抑えて身悶える。


怪物の顔と鬼頭の顔。


半々のその顔が、痛みに苦しんでいる。


「今だ!真治少年!!」


背後から聞こえた恵梨香さんの声に、俺は大きく一歩踏み込んだ。


この街に来て、最初に恐怖した存在、鬼頭竜二。


どういう事があって怪物になったかは分からないけれど、会えて良かった。


一番最初に植え付けられた恐怖を、摘み取る機会が出来たのだから。


俺は、両手で柄を握り締めて……怪物の股から、それを一気に振り上げた。