殺戮都市

なぜか、いつもより身体が軽く感じる。


勢いが付いていたのにすぐに飛び退けたし、力もそんなにいらなかった。


日本刀が強化されて、俺にまで影響が出始めているのか。


そう考えれば、恵梨香さんのしなやかな動きも、斎藤の力強さも納得出来る。


まだ強化の入り口。


だけど十分戦える!


もう一度と、怪物に斬り掛かろうとした時……俺は、その異様な姿に目を疑った。


怪物の顔の半分が……人間だ。


思考はもう怪物になっているのだろう。


人間らしさは微塵も感じない。


いや、それよりも……。

















「き、鬼頭……竜二!!」
















俺と一緒にこの街に来た三人のうちの一人。


怪物に喰われて死んだはずの鬼頭の顔がそこにあったのだ。


俺が呼んでも反応はない。


何がどうなっているのか……。


「グルルル!ガウッ!!」


少なくとも、こいつが鬼頭であろうとなかろうと、俺を喰おうとしている事に変わりはない。


考えるのは後で良い。


仮に鬼頭が生きていたとしても、あの男は俺の日本刀を奪おうとした敵なのだから。