殺戮都市

「た、助け……」


恐怖に引きつった表情を向けて、俺に助けを求めた女子高生。


その俺の目の前で、怪物の口は閉じられた。


ブチンと、何かが千切れるような音と砕けるような音。


伸ばした手がダラリと垂れ下がり、命が尽きたのだろうという事が分かった。


「くそっ!そんなに人を喰いたいのかよ!!」


助けようとした女子高生は死んだ。


だけど俺はその動きを止めず、日本刀を構えたまま怪物に駆け寄った。


それに気付いた怪物。


俺に向かって、食い残しの女子高生を投げ付けた。


いきなりの牽制に、慌てて前方に転がるように回避した俺は、すぐさま体勢を立て直して怪物に向かって走る。


俺の上を通り過ぎた女子高生が、後方で地面に打ち付けられた音が聞こえた。


人を物みたいに……いや、やってる事は人間も同じか。


グッと柄を握り締め、距離を詰めた俺は、怪物の膝目掛けて日本刀を振り下ろした。


しかしその動きは読まれていたのか、一歩引いてクリーンヒットを避ける。


それでも微かに傷を付ける事が出来た。


「グアアアアウッ!!」


怪物の咆哮。


すぐさま掴みにかかった手を、俺は地面を踏む足に力を込めて、後方に飛び退いて回避した。