殺戮都市

「おい、亜美。起きろ。よそに移るぞ」


俺がそう呼びかけると、驚いたように目を覚まして辺りを見回す。


「お、お姉ちゃん……ここはどこ?」


寝ぼけているのか、あのビルから移動した事も忘れているようで、目をこすって俺の顔を見ていた。


「ここは危ないからな、他の場所に移動するぞ」


「お兄ちゃんだ……うん。分かった」


そう言って立ち上がると、また俺と手を繋ごうと手を伸ばした。


戦闘が開始されて、店の前を通り過ぎる人達を見ていると、手は繋がない方が良いと思うんだけどな。


俺達と仲良くしていると思われてしまったら……。


いざとなったら亜美だけでも逃げるという事が出来なくなるかもしれないから。


「恵梨香さん、移動するって言っても、どこに移動するんですか?」


「そうだな……人が集まるような所が良いんだが。少年がもたもたしているから戦闘が始まってしまった」


俺としては、なるべく人が来ない場所が良いんだけど。


恵梨香さんと俺とでは目的が違うんだ。


バベルの塔に乗り込む為に、背中を任せられる仲間を探しているんだよな。


今の俺は、亜美が安心していられる場所を探そうとしている。