『60分後、戦闘が開始されます。準備をして、戦闘開始をお待ちください』
そんな事を考えていると、端末からそんな声が聞こえた。
60分後……となると、移動時間に十分な余裕があるという事だ。
攻撃側にも防御側にも人が集まり、激しい戦闘になる事は容易に想像出来た。
「戦闘か。まあ私達には関係のない事だ。別に戦いに来たわけじゃないからな」
カウンターから少し顔を出して、外の様子を伺う恵梨香さん。
「恵梨香さんは……何をするつもりなんですか?何の為にここに来たんですか?」
暗くても分かる、その綺麗な横顔を見詰めて、俺はそう尋ねた。
「一緒に戦うやつを探す為だよ。この街に染まらない、背中を任せられる少年のようなやつを。そして時期が来たら……私はバベルの塔に向かう」
バベルの塔……そこに、恵梨香さんが求める何かがあるのか。
怪物に守られた、街の中心にある天を貫く塔。
「何が……あそこにあるんですか?」
「私にも分からない。だけど、この街の真ん中に建っていて、ポーンが守っているんだ。何かがあるとは思わないか?」
俺も気にはなっていたけど、あれだけ怪物がいるんだから、そこを目指そうだなんて考えもしなかった。



