殺戮都市

弾き飛ばされて、地面をゴロゴロと転がる鬼頭竜二。


「い、いやあああああっ!!な、なにこれ!?」


この状況を理解したのだろう、鬼頭竜二の血を浴びた明美さんが、戦慄の悲鳴を上げる。


ボリボリと、喰い千切った腕を食べる怪物。


「あ、あああっ!!う、腕がねえっ!!何だよ、どうなってんだよこれ!?」


地面に這ったまま、腕を失って立ち上がれない鬼頭竜二も悲鳴を上げた。


本当に何なんだこれ……この怪物は何なんだよ。


もしかして、この武器はこういう時の為の物なのか?


だとしても、身体が震えて動かない。


気持ちだけは戦って怪物を倒そうと思っているのに、身体が理解不能の状況に臆している。


それは俺だけじゃなく、ここにいる皆そうなのだろう。


ナイフのバーコードは論外として、ボウガンを持っている明美さんですら攻撃しようと思えないのだから。


「痛ぇ、痛ぇよ!!お前ら、俺を助けろ!!助けろよ!!」


地面を這って、怪物から離れようとこちらに逃げて来る鬼頭竜二。


でも……腕を喰い終わった怪物は、そんな鬼頭竜二の脚を掴んで持ち上げると、まるで人間がフライドチキンを食べるかのように、その脇腹に牙を立てたのだ。