殺戮都市

地面に転がり、それでも何とか大勢を整えた俺は、男を見詰めた。


睨むとか、殺意を向けるとかそんな目じゃない。


男の強さに恐怖して、怯えているような目だと、自分自身でも分かる。


「あーあー、そんな目をしてさ。何?今更俺の強さが分かっちゃったわけ?」


それもあるだろうけど……俺がどれだけ恵梨香さんに頼って、自分が強くなった気でいたのかという事を思い知らされた。


「お、お兄ちゃん……頑張れ!」


亜美の声が虚しく響く。


「おいおい、お前と俺は味方だろ!?このお兄ちゃんが敵なの!俺を応援しろっての、全く」


すかさず亜美を指差して、呆れたように首を横に振る。


頑張れと言われたって……俺はどうすれば良いんだ。


考えろ……考えろ!


こいつに勝てなくても良い。


亜美を連れて逃げ出せれば。


その方法を考えてみるけれど、身動きが取れない。


逃げ出したところで、亜美を連れていたら必ず追い付かれるだろう。


つまり……逃げるという道はない。


俺だけなら逃げられるかもしれないけど、それじゃあ意味がないんだ。


考えている間にも、ジリジリと迫る男に……俺は何も出来ずに後退するしかなかった。