殺戮都市

「み……」


鬼頭竜二が、ボウガンのトリガーに力を込めようとしたその時だった。
















「グアアアアアアアアアアッ!!」













塔の方から、何か獣のような咆哮が聞こえたのだ。


それも、かなり近くから。


バーコードは、鬼頭竜二の気を逸らそうとしていたわけではなかった。


その声の方を向いた俺は……道路の真ん中を走って来る、異様な姿の人間を目にした。


いや、あれは人間なのか。


皮膚がない巨大な人間の身体に、犬のような頭……不気味な怪物が、こちらに向かって走って来ていたのだ。


「な、なんだこりゃあ!!く、来るんじゃねえっ!!」


俺に向けていたボウガンを、怪物に向ける鬼頭竜二。


だけど、よりによってこのタイミングでボウガンは消え、明美さんの手に戻ってしまったのだ。














「グルルルル!!グァアアアアアッ!!」












呆気に取られている鬼頭竜二に、怪物が一気に駆け寄る。


そして……。















2メートル以上ある怪物は、鬼頭竜二の腕に喰らい付き、そのまま噛み切ってしまったのだ。