殺戮都市

まだ啜り泣く声が聞こえる。


ビルを出て、恵梨香さんが指定した喫茶店に向かおうとしたけど……それも出来ずに、俺はロビーで長椅子に腰掛けていた。


こんな事をしてる場合じゃない。


恵梨香さんと合流して、理沙を探さないといけないのに。


そうは思っていても、俺がお姉ちゃんは死んでいると言ったせいで、亜美が一人になってしまったと考えると、どうにかしたいという気持ちが生まれたから。


「何してるんだよ……俺は」


亜美は東軍で、南軍の俺とは敵同士なのに。


敵の生活の事なんて考えてしまったら……もう人は殺せないじゃないか。


次に俺が殺した人に、亜美みたいな子がいないとも限らない。


そう考えると、殺す時に手が止まってしまうかもしれない。


そしてそれは大きな隙を生んで、俺自身が死んでしまう可能性があるのだ。


考えれば考えるほど……深い闇の中に堕ちて行くようで、身動きが取れなくなる。















カチャ……。














頭を抱えて悩んでいる俺の耳に、ドアが開く音が聞こえた。


ゆっくりとその方を見ると……亜美が、涙を拭いながら部屋から出て来ていたのだ。