殺戮都市

「お、おい……皆見てみろ!」


一人蚊帳の外にいたバーコードが声を上げた。


バーコードは俺達の背後を指差していて、何を見ているんだよと思うほど、上の方を見ている。


その声に、そこにいる全員が振り返って確認すると……。

















「な、なんだよこりゃあ……」















鬼頭竜二でさえも、その圧倒的な光景に情けない声を漏らしたのだ。


いや、声が出るだけ凄いと言うべきか。


俺の目に映った光景。


高層ビルが建ち並ぶその奥に、天を貫くほどの高さの塔がそびえていたのだから。


東京スカイツリーも小さく見える、尋常じゃない高さの塔。


いつの間に日本に、こんな塔が出来たのか。


「こんなの見た事ない……ね、ねえ、私達解放されたんだよね?家に帰れるんだよね!?」


不安になったのか、明美さんが俺に尋ねる。


そんなの……分からないよ。


俺だって家に帰れると思ったけど、この塔を見てしまうと何も言う事が出来ない。


そして、俺達がどうしてこの場所に立っているかも、その理由が分からないのだ。


「な、何にしたって構わねえ。オラ、早くそれをよこしやがれ!」