殺戮都市

暗く、どんな部屋かも分からないドアの向こう。


殺気みたいな物は感じないけど、それも含めて俺を騙そうとしているかもしれないからな。


意識していないのに、忍び足になってしまう。


足音を立てないように……俺の位置を悟られないようにと。


そして、ドアの横の壁に身体を付け、警戒しながら中を覗く。


……?


おかしいな、本当に人がいるのか?


そんな気配が全くないけど。


亜美一人しかいないとしたら、ここに俺を誘い込んで殺すつもりだとか……。


いや、そんな回りくどい事をしなくても、殺すつもりなら休んでいる時にやれたはずだ。


どうも、色んな事が矛盾だらけで、俺の経験では答えが導き出せない。


「お姉ちゃん、さっき言ってたお兄ちゃんが来たよ」


亜美の姿を目で追って、部屋の中に頭を突っ込んだ俺は……長椅子の上に横になっている人の足を見た。











嘘じゃなかった、本当にいる。











良く見れば、ここは部屋なんて物じゃない。


階段の下にある、掃除用具入れのような空間。


そこに横になっているのだ。


足の大きさから考えて……大人の女性の可能性が高い。