殺戮都市

その想いだけが、俺が進む原動力だった。


ここで死んでしまえば、また南軍のビルに戻されてしまう。


一刻も早く行きたいのに……こんな所で足止めされたくない!


背後から迫る怪物から逃げるように、光の壁の切れ目から俺は東軍の陣地に入った。


この緊張感の中、走るのはきつかった。


後は、この東軍のビルの何処かに逃げ込めば、俺は助かるはずだ。


建物の中には怪物は入ってこないから。


走って走って、バベルの塔から離れた俺を、怪物達は追って来なかった。


光の壁を一枚隔てたこちら側には、怪物の姿はない。


そりゃそうか、こっちは攻める側で、人の生き死には南軍側でしかされていないのだから。


「はぁ……はぁ……助かったのか?」


生きる事に必死で、走り出してからの記憶がはっきりしない。


それでも、あの状況で俺が死ななかったという事は、怪物達と戦えたという事か?


「痛っ!なんだよこれ……」


気を抜いたと同時に、一気に痛みが顔に押し寄せる。


まだ目が開かない。


そっと手で撫でてみると、手にベットリと血が付着する。


いや……それだけじゃない。


俺のカッターシャツの左半分が、真っ赤に染まっていたのだ。