殺戮都市

そのアナウンスが流れた後、黒い部屋が歪み始めて、あのサイトに登録した時と同じような渦に巻き込まれた。


どこが上か下か、今どんな体勢なのかも分からないまま、次に気付いた時には……俺達は道路の真ん中に立っていたのだ。


高いビル、道路の両脇に植えられた街路樹。


どれだけ時間が流れたのか、空は真っ暗で、夜だという事が分かる。


「……な、何?解放されたの?」


俺は見た事がない街並みだけど……外に出たという事はそうなのかな。


そう思おうとしたけど、何か違和感がある。


夜の街、店の灯りもネオンも光っているけれど、誰もいない。


自動車やバイク、自転車はあるのに、その持ち主がいないのだ。


まるでゴーストタウンのように。


「ま、まあ……外に出られたのなら、家に帰れるんじゃないかな」


淡い期待を口に出した俺に、明美さんが頷く。


「そう……だよね。家に帰れるよね、私達」


ボウガンを下ろし、嬉しそうな表情を俺に向ける。


「おい待てよ。だったらそれはいらねぇだろ?俺によこせよ」


鬼頭竜二はまだ諦めていない。


まだ分かってないのかな。


俺からこの日本刀を奪っても、俺に戻るって事を。