殺戮都市

この街で、損得勘定抜きにして人に認めてもらえるのがどれだけ大変な事か。


荒くなった呼吸を整えて、目の前怪物を睨み返す。


恐怖が……少しずつ殺意に変わって行くのが分かる。


それが身体の緊張をほぐして、俺は一歩踏み出した。


怪物にとっては予期せぬ出来事だったのか、俺に驚き背後に飛び退いた。


人を三人殺した。


それでどれくらい日本刀が強化されたのかは分からないけど、軽くなったように感じる。


強化は、単純に破壊力が上がるだけじゃなく、扱いやすくなるのだろうと、握り締めた日本刀から感じる事が出来た。


だけど、俺が強くなったわけでも、優位に立てたわけでもない。


状況としては、捕食者と獲物という図式に変化はないのだ。


「どけよ……俺は東軍に行くんだ!理沙に会うんだよ!」


それがなければ、恵梨香さんについて東軍に行くなんて考えてなかったかもしれない。


こんな街で、勝手に敵味方に分けられて、別れを告げられた事に納得なんて出来なかったから。


「ガウッ!」


怪物が拳を振り上げる。


そこからパンチを放つまでの速度が……速い!


こんな巨体でこれほどまでの速さで動くなんて、反則だろ!