殺戮都市

「えっ!?あ、あれ!?」


「グルルルル……」


俺も怪物も、まさかのその行動に呆気に取られて。


走り去る恵梨香さんの背中を見る事しか出来なかった。


「グァウッ!!」


去った獲物より、残った獲物。


そう言わんばかりに怪物が吠える。


俺にとっては全くの予想外の出来事。


心のどこかで、危なくなったら恵梨香さんが助けてくれると思っていたのだろう。


怪物と一対一になるなんて……考えてなかった。


「こ、来いよ……俺の道を塞ぐな!」


強がって見せるけど、怪物には俺の虚勢など関係ないのだろう。


ジリジリと間を詰め、俺に迫る。


怪物が目の前にいる……下手すれば死ぬかもしれない。


その恐怖心が、俺の身体を蝕み始めた。


手足は震え、額に汗が浮き出る。


喉は渇き、風が皮膚を撫でただけで、過剰に反応してしまいそうなほどの緊張感。


感覚が研ぎ澄まされているのが分かる。


握り締めた日本刀が、前よりも軽く思える。


「グルルルル……グアアアアッ!!」


ゆっくりと歩み寄り……突然、牙を剥いて飛び掛かった怪物。


その手が両側から覆うように俺に襲い掛かった。