殺戮都市

しばらく光の壁沿いを歩いて、俺達の前に障害が立ちはだかった。


戦闘で死亡した人の身体を貪り、こちらに向かって歩いて来る怪物の姿。


遠くにいる俺達に気付いたのか、喰いかけの死体を口の中に入れて、こちらを睨んでいた。


「さあ、これは真治少年への試練だな」


武器を抜くわけでもなく、立ち止まって俺を見た恵梨香さん。


まさか、俺に怪物をどうにかしろって言うのだろうか?


「今から行くのは、真治少年にとっては敵地だ。私が常に守ってやれるわけじゃない。一人で困難を突破出来る力がなければ、行っても無駄死にするだけだ。口だけの覚悟なんていらないぞ」


まだ東軍しか知らないけど、捕まった人がどんな目に合うかは分かっているつもりだ。


同じ人間なのに、人間らしい扱いを全く受けない。


「分かりました……なんとかします」


空間から日本刀を引き抜いた俺は、その柄をグッと握り締めて恵梨香さんに頷いた。


「迷いのない良い返事だ。では私は、一足先に行っているぞ。そうだな、ここから見えるだろう?あの喫茶店で落ち合おうか」


光の壁の向こう側、東軍の陣地に見える小さな喫茶店の看板を指差して見せた恵梨香さん。


「じゃ、頑張れ」


それだけ言うと、恵梨香さんは怪物を無視して、街の中央へと走り去ってしまったのだ。