殺戮都市

驚いたのは俺だけじゃない。


待ち構えられているとは思っていなかったのか、女性も驚き、木槌を両手で構えたのだ。


「こ、ここにはキングはいない!出て行け!」


そう言ってみたものの……逆に怪しく聞こえてしまう。


「はあ?だったらあんた、何でここにいるのさ!調べさせてもらうよ!」


やっぱりこうなる!


俺が高校生だと思ったからか、勝てると甘く見られたのだろう。


ジーンズにタンクトップという格好で、いかにも戦い慣れている感じがする女性は、俺に向かって駆け出した。


「待てって!本当にここには……くそっ!」


敵の言う事なんて聞いてくれない。


空間から日本刀を引き抜いた俺は、鞘から刀身を抜き、女性に向けた。


武器の強さは見た目じゃない。


まだ強化されていないこの武器が、どれほど強いかは分からないけど、上手くやれば何とかなるはずだ。


女性が振り下ろした木槌を横に飛び退いて避け、牽制で日本刀を軽く横に振った。


間合いなんて適当。


女性から離れ過ぎた位置で振ったそれは、脅かす事も出来ずに、無意味に空を切った。


その行動で俺が戦い慣れていないと判断したのか……女性はニヤリと笑った。