殺戮都市

「よりによって……こんなタイミングとは運がない」


前は30分の準備時間があったのに、今回は10分か。


ソウルを使用して高速回復を始めたばかりだと言うのに、ここで殺されてはソウルの無駄だ。


「……俺、行って来ます」


戦いたいわけじゃない。


何か、心の奥から湧き起こる感情が、俺を動かそうとしていた。


恐ろしいほど強い恵梨香さんが、今ならここに来たばかりの人にだって殺されてしまいそう。


俺は……今まで誰かに頼っていただけだったんだと、こんな状態になってやっと気付いた。


そう思ったからって、いきなり強くなるわけじゃない。


だけど、人を守るくらいはしてみせる。


「私の事なら気にするな……それより少年、今私は色んな物が丸出しなわけだが……助けてくれた礼に、どこを触っても良いぞ」


「こ、こんな時に冗談言わないでください。1時間……そこで休んでてください」


なるべく見ないように、恵梨香さんの身体にバスタオルを掛けて、鍵を持った俺は部屋から出た。


ドアを閉めて、廊下を確認した俺はエレベーターに向かい一階に下りた。


ビジネスホテルのロビー、そこに設置された長椅子に腰を下ろし……どうして言われた通りに触らなかったんだと、激しく後悔した。