殺戮都市

シャワーの音は聞こえる。


なのに返事がないなんて、絶対におかしいよな。


「恵梨香さん!?あ、開けますよ!」


最悪、後で殴られる覚悟でドアノブを回し、ドアを開けた。


何だか悪い事をしているという感覚に襲われたけど……ユニットバスのバスタブに目を向けると、半分引かれたシャワーカーテンの横に恵梨香さんはいた。


バスタブの縁に項垂れてもたれるその姿は、明らかに異常。


意識を失っているのか、眠っているだけなのかは分からないけど、このままにしておくわけにはいかない。


「ど、どうしたんですか!ちょ、ちょっと失礼します!」


浴室に入り、シャワーを止めた俺は、バスタオルを手に取り、恵梨香さんの肩に掛けた。


「う……うぅ……」


呼び掛けに微かな反応。


「だ、大丈……な、なんだこれ……」


恵梨香さんの身体を揺すり、起こそうとした時。


俺はその異変に気付いた。


左の脇腹……いや、良く見れば恵梨香さんの身体の側面から背中に、何ヶ所かある紫の痕。


それはきっと、斎藤との戦いで負ったのであろう怪我だと直感した。


全部避けるかガードしていたように見えたのに……こんなになっていたなんて。