いきなりの出来事に恐怖と驚きが混在する。 な、なに?! 動けずにいるわたしに、その人物は声を荒らげた。 「お前!傘もささずに何やってんだよ!」 その声に、ホッとして目に溜まっていた涙が一気にこぼれ始めた。 「連れて行ってもらえって言ったろ」 涙に気づいたのか、幾段も優しい声で一之瀬くんはそう言った。 「保険証渡されて行ってきなさいって。望乃華に風邪がうつったら大変だからホテルにしばらくいなさいって」 思わず零してしまった言葉に一之瀬くんは眉間に深くしわを寄せた。