こんなことなら、イヤホンでもしてすればよかった。 薄暗い部屋から、一之瀬くんが出る直前にそんなこと思った。 イヤホンをしていれば、きっと一之瀬くんがこの部屋に来たことも気付かなかったろう。 そうすれば、あんな優しい微笑みを見ることも無かっただろう。 頭に焼き付いた彼の微笑みをかき消すように首を振った。 妹の彼氏に、こんな甘酸っぱい気持ちなんて持っちゃダメだ。