ラブレター2

ゴメンね。を、何度、僕らは言ってきたのだろう。

二人は、出会っては、いけなかったのだろうか。

それは、『自分だけが愛しい僕ら』には、重く乗し架かった。

「ごめん。」

「ゆうくんだけじゃないよ。あいも悪いもん。」

あいが、悪い訳ではない。

いつでも、僕だけの事を、考えてくれるあいだからこそ、そう言ってほしくない。

僕とあいは、まだ学生。

だから、全てのことを考えて、お互いの親に申し訳無い。なんて、言い訳であって、僕らのエゴなのかもしれない。

薬局で買った、妊娠検査薬が、現実を突き付ける。

「ごめん。」

本気で、赤ちゃんを産んでほしい。と言っていたら、あいは、産んでくれたのかな。

全て捨ててでも、うん。と言ってくれたかな。

ほら、また、あいのせいにしている。

その覚悟が無かったのは、自分のせいなのに。

一度の『性』で、僕のせいで、一つの『生』を失わなければいけない。

いつもの様に、寒い平日。

大切な命を摘む日。

僕も、あいも学校だったが、あいだけが学校を休んだ。

その日、僕は家に、携帯を忘れてしまった。

「ごめん。」

大事な時に限って、いつもミスをする自分が嫌い。

朝、同じバスに乗り、あいの携帯番号を事前に暗記する。

何もしてあげれない僕にできるのは、最近買ったお揃いのキーホルダーを握りしめるだけ。

笑っている人形のキーホルダーに、辛いことを押し付けたかった。のかもしれない。

学校を早退し、あいをコンビニで待つ。

ごめん。ごめん。ごめん。

あいを、一人にさせてしまった自分が、嫌い。

「終わったよ。」

公衆電話の向こうから聞こえる、いつもの声。

あいに合わす顔が無いが、向き合わなくちゃいけない現実。

「ごめん…。」

よろめく姿に、泣いた後の目をしたあいが、僕の目の前にいる。

タクシーであいの家に着き、肩を貸して、ベッドまで寄り添う。

コンビニで買ってあった物を、あいの部屋に置く。

本当に悲しいと、涙は出ないんだな。

「ごめん。」

そんな僕に、あいは、無理して笑ってくれた。

「大丈夫。」

でも、あいの涙を見ると、心が張り裂けるくらい、苦しかった。

それなのに、あいの手を握ることしか、僕にはできなかった。