ラブレター2

「今日から、親いないんだ。」

「え?何で?」

「お姉ちゃんのとこに、行くみたいで。」

突然、あいが、何を言い出したのかと、驚いた。

「だから、あい一人。」

街をブラブラしながら、他愛も無い話をしていた。

「前も、こんなことあって。」

「その時は、どうしたの?」

「友達、呼んだりして、楽しかった!!」

「ふーん。なら、今度も友達呼ぶの?」

街中を歩く時は、あいと手は繋がない。

「いや。ゆうくん、来る…?」

頭の中で、あのCMの歌…なんだっけ?なんて、一人で考えていた。

「うん。ん?」

適当に返事をして、話を聞き直す。

「いや、ゆうくんがいいなら…おいで?」

女の子の家なんて、まともに入ったことがなかったから、少しドキドキした。

「行く!!行きます!!」

あいが笑って、分かった。と言う。

帰りのバスを一緒に乗って、終点まで乗った後に、じゃ、あとで。と告げ、家へ帰った。

準備をし、あいの家へ続く、長い階段を下った。

インターフォンを押しても、あいは出てこない。

「こんばんわ~。」

玄関を開けて、恐る恐る入ると、あいの家の番犬『ももちゃん』がいた。

「あっ、入っていいよ!!」

そう言われ、靴を脱ぎ、あいの家へ入る。

「お邪魔します。」

何故か緊張して、立ったまま、キョロキョロしていた。

「座ってていいよ。」

笑いながら、あいが言ってきて、近くにあった、ピアノの椅子に座った。

「お風呂とか、入ってきた?」

「いや、まだだけど…。」

「なら、入っていいよ。」

まだ、変な緊張感が抜けず、変な言葉を言っていた。

「一緒に入ろう?」

たぶん、僕は、赤面していただろう。

あいと目が合い、いいよ。と、答えが返ってきた。

「今からがいいな。」

二人で、風呂場に行き、裸になって、立ったまま、あいを後ろから抱き締めた。

「好き。」

二人で、シャワーを浴びて、ちょっと幸せ。

「一緒に入るの、俺が初めて?」

あいが、言葉を詰まらせて、

「…いや。」

と言われた時は、ショックだった。

一人、ドキドキした自分が馬鹿みたいだ。

「上がろうっと。」

髪を乾かさないまま、服を着る。

「怒ったの?」

後ろから聞こえる声。

「来なきゃ良かった。ねぇ、ももちゃん。」

あいが、どんな顔をしていたかは、分からないが、僕を抱き締めてくれた。

「ももちゃ~ん。あいとゆうくん、ラブラブ~!!」

濡れた頭の上に、あいが、小さなタオルを掛けてくれた。

「彼氏とラブラブしなよ。」

こんなに、妬きもちを焼くし、不安になるくらい好きになってしまったんだ。

玄関先のももちゃんは、訳が分からないように、僕達を見ていた。

「ねぇ、チューは?」

あいも、ズルイよね。

「ふんっ。」

「チューしてくれないの?」

こんなに、愛されてるのだから、小さいこと、気にするな。と言い聞かせ、後ろを振り向き、キスをする。

キスをしている間、あいが笑う。

「何?」

「ん?ももちゃんが、妬いちゃうね?」

笑うあいが、可愛くて、ももちゃんに、二人の仲の良さを見せ付けた。

前足をバタバタさせてる、ももちゃんも可愛かった。

バイバーイ。と言って、隠れると、寂しそうにする、ももちゃんがいた。

気になって、また、顔を出すと、また、バタバタさせている。

「寝ようか?」

そう言って、二階にある、あいの部屋へ入った。

「女の子の部屋って言う部屋、初めて入った。」

「嘘だぁ。」

「いやいや、マジで。」

ベッドに潜りこむと、あいの部屋にあったプリクラが、目に入った。

「これ、誰?元カレ?」

知らない男達と映る写真。

「あっ、うん。」

またしても、落ち込む自分がいる。

大事そうに持っていられたら、自分に自信を無くす。

「ふーん。結構、男好きだね。」

いつか、本気になるなよ。と言っていた自分が、本気になっていたことに、気付く。

人を好きになって、良いことなんて、あるわけないんだ。と、改めて気付いた。

「まっ、どうでもいいけどね。」

「違う。こう言」
「なら、しようよ。」

過去や未来じゃない。

今しか、信用しない。

「うん…。」

自分の部屋以外で、エッチをしたことがなくて、新鮮な感じがしたけれど、何故か、苛立ちが強く、強くあいを抱いた。

「好き。」

言葉なんて、いくらでも言える。

欲しいのは、ただの温もり。

ただの、安心感。

揺れるベッドの音が、部屋へ響く。

こんなにムキになるくらい、やっぱり、本当に恋してるみたい。

「彼氏と幸せになりなね?」

これ以上、本気になりたくなかったから。

抱き締めた後に、酷い言葉だったかもしれないけれど、自分が傷付くのが怖かった。

でもさ、二人で過ごす夜のことも、君の中で、いつか過去になるのかな。