ラブレター2

「あー、無理無理。マジ、寒い。」

自己中おばさんが消えて、冷たい新聞を地面に投げ、車へ帰ってきた。

「何だったの?」

「いや、もういい。今のうちに、場所を変えよう。」

後味が悪かったが、あんな言われようでは、やる気も、糞も出てこない。

久々に動く車に、少し感動する。

数分走って、

「で、何だったの?」

とあいが言うので、経緯(いきさつ)を全て話した。

「可哀想ね?」

「いや、俺が可哀想ね?」

笑うあいだが、ホントに寒かったんだから。

「どこにする?まだ、時間あるよ?」

あいが、直ぐに帰れるように、家の近くで、また車を止める。

段々と、明るくなる外の景色。

抱き締めて、キスをして、また…。

「見られたら、恥ずかしいよ…。」

君の声が、僕の心を熱くさせる。

愛しいんだよ…。

こんなに、こんなに…。

重なる体が寄り添って、君を抱き締める。

「好き…。」

あいは、疲れたのか、眠たい目をしていた。

「ありがとう。」

と、あいの髪を撫でる。

一眠りをした後、送ってもらい、あいが帰って行った。

『あっち、電波無いから、家の電話で話そう?』

そんなに思ってくれてるんだな。と、嬉しく思って、メールを直ぐに送る。

『分かった。』

僕の正月は暇で、あいがいないと、暇で仕様が無い。

部屋の片付けも中途半端で、寝転んで、あいとメールをしていた。

『今は、高速だよ~。』

眠たいだろうに、小豆(こまめ)にメールをしてくれる、あい。

『もうすぐ着く~。』

気が付けば夕方くらいになっていて、僕は眠っていた事に気付く。

少ない人数からの、おめでとう。のメールに返事をしている最中だったが、面倒臭くなって、あいとだけメールをする。

『もう、着いたよ~。』

あいと僕の携帯は、作っている会社が違うために、絵文字よりか、顔文字を使うことが多かった。

ゆっくりしな?と送って、夜になると、

『今日は、疲れたから寝るね。』

と、メールがきた。

少しだけ、期待していた電話が無いことを悟り、僕も早く寝ることにした。

ただ、その日はあいの温もりがあるだけで、幸せだった。