都会に住む人には、一生、縁が無いだろう。

天の川が見れること。

流れ星を、一日に、何度も見ること。

それが、叶う場所へ、あいを連れてきた。

「今日、友達の家に泊まる。って、言ってきた。」

声に出して笑うほど、子供みたいな言い訳が、愛しい。

「流れ星、最低、三つは見れるよ?」

疑うような言葉を、言われている最中に、もう、

「あっ!!ほら!!」

あいが、僕の目線を見上げた時には、すでに、それは消えていた。

「ズルイ。」

と、僕を見て、文句を言うあいなのだが、

「そんなこと言っ、ほら。」

二つ目の、それを見て、指を突き出したのだが、また、あいは見れなかったようだ。

「本当に見たの?」

石垣に座り、打ち寄せる波に消されていく、言葉達。

早く、あいに流れ星を見せてあげたかった。

「月が無い日は、ラッキーなんだ。月明かりが無いから、星達が、いつもより輝いて、流れ星が、見易くなるんだよ。」

あいが、僕の方を向かなくなって、五分くらいが経った。

「流れない。」

「大丈夫。」

根拠は無いが、心で、流れろ。と、何度も叫ぶ。

「あっ!!」

「ね?」

今の願い事が、すぐに叶ってしまった。

「ねぇ、何を願ったの?」

まだ、物足りない様なあいに、軽く問う。

「ゆうくんは?」

笑いながら、あいが問う。

「あいと、ずっと、いれますように。って。」

ちょっと、キザっぽくて、赤くなったであろう頬を、海風が冷やしてくれた。

嬉しそうに笑うあいが、可愛かった。

「え?あいは?」

笑いながら、あいは話す。

「突然だったから、決めてなかった。」

もう、ズルイな。と思い、もう一度、流れろ!!と願った。

「あ…。ほら!!今のは?」

僕は、流れ星に流れ星を、二回もお願いしてしまったよ。

「秘密。」

不適に笑うあいが憎らしくて、もどかしくて。

五回目くらいかな?

午前三時頃の流れ星。

「ねぇ、」
「ねぇ、」

「何?」

「今のは、何て願った?」

あいが、先に質問する。

「今、あいと、キスしたい。って願った。」

そう言い、一度だけ、キスをした。

「もう、叶っちゃった。」

小さな体、小さな顔。

愛しくて、それから、何度も何度も唇を重ね、空を見なくなった。

「好き。」

「大好き…。」

あいを求めたけれど、僕の脳裏に、あいの彼氏が浮かび、再び、日の出まで、天体観測を始めた。