「おやすみのチューは?」
さっきの言葉のせいか、笑いながら君は、またも、え~。と言う。
だけど、一度と言わず、二度までも、君とキスしていたから、あいならしてくれる。って、信じてた。
でも、その答えを聞く前に、僕からキスをしていた。
横目で見えた、遠くの車のライトに驚いて、短いキスになった。
邪魔されたけれど、笑う君の顔を見たら、怒(おこ)る。の感情は、出てこなかった。
繋がれた手がほどけて、君の家へと続く階段が、遠い場所へ続く道の様に感じて、少し寂しく、おやすみなさい。なんて、手を振った。
「おやすみ。」
手を振るあいが、家へ入って行くのを見送り、手の温もりを残すように、ジーパンのポケットへ手を入れて、一人歩き出した。
また、近所の『ナナちゃん』に吠えられて、さっき、二人で歩いた道を、逆戻りする。
階段を登り、いつもの場所。の、いつもの特等席へ、座った。
キス…か。
改めて、いろんな思いが込み上がってきた。
携帯を開くと、傾いた月とは違う、眩しい光が目に入ってきた。
『あい、好きだよ。』
いつものメールなのに、打ち込む文字も新鮮に見えて、顔文字なんかも、添えている。
それに嫉妬したかのように、僕から離れない蚊に、少し苛ついた。
だけど、今日くらいは、許してあげよう。と、小さな虫も、殺したくなかった。
いや、本当は、暗くて、見えない相手を、相手にしたくなくて、文字を送り、椅子から体を立ち上がらせて、家路へ歩き始めた。
何故か、羽が生えたように足取りが軽く、気付くと、僕の家へ着く直前に、携帯の着信音が鳴った。
『うん。あいも好き。』
変にニヤケてしまったが、誰かに見られないように。と、直ぐに返事を送った。
『ありがとう。』
たぶん、ずっと前から、お酒ではなく、あいに酔っていたのかもしれない。
あいの家から、僕の家までは、ずっと階段。
登るのも、きついけれど、今日は、本当に体が軽い。
僕の目の前を遮(さえぎ)った黒猫が、一度、僕の方を振り向いて、俺にも幸せをくれ。と捨て台詞を吐いて、また鳴り響いた着信音に驚き、近所の家へと消えて行った。
『うん。』
階段を一気に、掛け上がるつもりだったが、右足を階段に奪われ、転びそうになって、また歩き始めた。
『明日も、会いたいな。』
僕が、あいに恋する物語りが始まった。
さっきの言葉のせいか、笑いながら君は、またも、え~。と言う。
だけど、一度と言わず、二度までも、君とキスしていたから、あいならしてくれる。って、信じてた。
でも、その答えを聞く前に、僕からキスをしていた。
横目で見えた、遠くの車のライトに驚いて、短いキスになった。
邪魔されたけれど、笑う君の顔を見たら、怒(おこ)る。の感情は、出てこなかった。
繋がれた手がほどけて、君の家へと続く階段が、遠い場所へ続く道の様に感じて、少し寂しく、おやすみなさい。なんて、手を振った。
「おやすみ。」
手を振るあいが、家へ入って行くのを見送り、手の温もりを残すように、ジーパンのポケットへ手を入れて、一人歩き出した。
また、近所の『ナナちゃん』に吠えられて、さっき、二人で歩いた道を、逆戻りする。
階段を登り、いつもの場所。の、いつもの特等席へ、座った。
キス…か。
改めて、いろんな思いが込み上がってきた。
携帯を開くと、傾いた月とは違う、眩しい光が目に入ってきた。
『あい、好きだよ。』
いつものメールなのに、打ち込む文字も新鮮に見えて、顔文字なんかも、添えている。
それに嫉妬したかのように、僕から離れない蚊に、少し苛ついた。
だけど、今日くらいは、許してあげよう。と、小さな虫も、殺したくなかった。
いや、本当は、暗くて、見えない相手を、相手にしたくなくて、文字を送り、椅子から体を立ち上がらせて、家路へ歩き始めた。
何故か、羽が生えたように足取りが軽く、気付くと、僕の家へ着く直前に、携帯の着信音が鳴った。
『うん。あいも好き。』
変にニヤケてしまったが、誰かに見られないように。と、直ぐに返事を送った。
『ありがとう。』
たぶん、ずっと前から、お酒ではなく、あいに酔っていたのかもしれない。
あいの家から、僕の家までは、ずっと階段。
登るのも、きついけれど、今日は、本当に体が軽い。
僕の目の前を遮(さえぎ)った黒猫が、一度、僕の方を振り向いて、俺にも幸せをくれ。と捨て台詞を吐いて、また鳴り響いた着信音に驚き、近所の家へと消えて行った。
『うん。』
階段を一気に、掛け上がるつもりだったが、右足を階段に奪われ、転びそうになって、また歩き始めた。
『明日も、会いたいな。』
僕が、あいに恋する物語りが始まった。

