近くの公民館で、あいを待つ。

夏らしくなってきた暑さをしのぐために、室内がいい。と言ったからだ。

壁に掛かった丸い時計は、午後二時半を指していた。

目の前にあった、自動ドアが開き、

「遅れて、ゴメンね。」

と言いながら、あいが現れた。

「どうしたの?」

相談がある。とメールをしていたからか、靴を脱ぎ、スリッパを履いて、心配そうに聞いてくる、あいがいた。

ただ、暇潰し。と言うこともできず、誰かに会いたかった。なんて、余計に言えず、将来の事や、今の彼女の愚痴を言ってた。

四角い椅子に、二人座って話していたが、隣りにいるあいとの距離に、ドキドキしていた。

ただ、二人で会う。って事だけで嬉しくて、公民館に入ってくる子供達も可愛く見え、部屋で考えていたことも、忘れていた。

人に頼ることを滅多にしない僕だが、あいにメールをした時点で、きっと、好き。だったのかな。

しかし、僕の携帯の中には、好きな人達しか入っていないけれど。

少しだけ。と言われていたこともあり、午後四時頃に、時間は大丈夫?など聞いたりする。

「うーん。じゃ、そろそろ帰ろうかな。」

寂しいな。という感情は確かにあったのだが、無理を言って出てきてくれた事を考えると、嬉しさの方が勝(まさ)った。

「送っていく。」

当然、そんなのいいよ。と言われたが、少しでも誰かといたかったからか、出てきた言葉に、偽りはなかった。

結局、一緒に公民館を後にし、あつい~。とか言いながら、歩き始めた。

小学校も一緒と言うだけあり、あいの家は、僕の家のすぐ側にある。

さよなら。と、じゃーね。という類の言葉が嫌いな僕は、またね。と言い、あいを家まで送った。

「何かあったら、いつでもいいからね。」

この言葉に、甘えてしまう。

嬉しくて嬉しくて、この日を境に、相談と言う言葉を理由に、あいと会う事が増えていった。

また、狭い部屋に閉じ籠り、あいにメールを送っていた。

『ありがと。あいさん、好きだよ。』

先輩として好きなのか、恋愛対象として好きなのかは、まだ分からないが、あいが確実に、『好きな人』へと、変わっていた。

『うん。少ししか聞いてあげれなかったけど、ゆうくんなら大丈夫。』

励ましの言葉を、素直に喜べたのは、初めてだったかもしれない。

こんな日曜日も、たまにはいいかな。