何が起きたと言いたげがフリーズした表情だった。その少女は夕影陽依は突然顔もまだ見てない見知らぬ男に急に近付かれて突然抱き締められた連続のハプニング。だが、夕日色の瞳は怯えた色を帯び立たず落ち着いた懐かしい匂いが嗅覚を刺激する。

「会えた、ようやく!!ずっと…!ずっと!!」

押し殺した寂しさを解放した様な綺麗な声を聞いた彼女の表情は一色変化した。焦り混じり抱き締められたその優しい腕を押し返した。忘れもしない、紛れもない彼の腕だった。

「は、……離してッ‼‼」

細い腕で精一杯押し返して顔を上げた。円らな夕日色の瞳の視界に飛び込む真っ黒な髪。真っ直ぐに見つめて来て心を射抜く様に見つめる青い瞳。少女の首筋に汗が流れる。

懐かしくて、忘れようとしていたのに・・・どうしてまた会っちゃったの??

「ゆ、……ゆう………優??」

「陽依…………。俺、」

そっとその華奢な身体に手を伸ばそうとする優、段々近づけて行き赤いジャージを着た細い腕をそっと掴もうとした時。パンッ!!乾いた音が軽くなる。ヒリヒリとする優の腕に、少女の手が上がってた。優の手を叩いたのだ。

「やめて……優………。」

「ひ、より??」

「…………もう、」

苦しそうにする少女の声色。下を俯いたままカタカタと肩を震わす彼女を見て優は焦る。何処か痛むの??っと問いかけても返事は返してくれない。もう一度名前を呼ぼうそう決めて呼ぼうした時俯いてた顔が上がり言い放った。

「近付かないで、駄目だよ…優」

そうハッキリと優に言い放ち試合開始のホイッスルが鳴ると共に歩き出した。
揺れる夕日色混じりの茶髪は綺麗な紅葉の葉みたいに揺れると同時にそのやり取りを見ていた直元はふと感じて思った。そんな事を言ってんのに背後の姿が………ヤケに寂しそうだ。

切なげな夕日色は人だかりの中に消えて行き、優はその場をたた立ち止まっていた。

「どうして………どうして、…なんだよ」

ギュッと握り拳を作って下を俯く優がいた。