昼が終わり、二時間分の授業もなんぞ適当に済ませる優にとって今唯一の楽しみは体育だった。部活動見学に行った時優が入りたいと思っていたスノーボード部は残念ながら無かった事で不満だった優にとって体育は身体を動かして気楽にスポーツが出来るからだった。直元と一足先に体育館に行き男子更衣室で青ジャージに着替えていた。

「そういや、今日の体育。隣のBクラスと合同授業なんだよな。」

「そうなの??」

「西田先生が言ってただろ、それにお目に掛かれるかもしれないぞ?」

「お目に掛るって何をだよ?」

「え、優知らねえの?Bクラスの保健委員だよ。」

そんな噂は、優にとって初耳だった。元々そんな同学年との噂や関係性とかに興味なんて無くてその噂を知らなかった優のポーカーフェイスがやや驚いた表情を窺えた直元は呆れた表情で額に手を当てる。こいつ、興味無さ過ぎだろ!?心の中で直元はそう叫ぶ。呆れた遠い目で優を見る。コイツはイケメンで、モテる癖に、女子とか群がれたりする癖して回りに無関心だろ。

「聞いた話だけど、Bクラスの役委員で保健委員がスゲエ可愛いんだって。」

「へー。」

「部活動とかマネージャーとかいねえから、各部活動がその保健委員が開いてる時間に来てもらって差し入れとか主に体調管理とかマネの仕事を代わりにしてもらってるって噂だぜ。」

「そいつも大変だな…。」

「なんか、本人が好きでやってるみたいだから来てくれるらしいぜ。ほとんどは保健室で引き籠ってるらしいってもっぱらの話だ。」


直元は自慢気に語り終わると、Aクラスの生徒達がゆっくりと体育館に入り始めて女子と男子更衣室にアリの巣に帰るアリの大群の如く入って行く。暫くすると、Bクラスの生徒達が入って来て更衣室に行っては着替え始める。一番乗りで来た優よ直元はステージに腰掛ける。合同従業の今日は男女混合のドッジボール大会する予定になると分かっている。

「男女混合か~。女子とかボールを当てただけで煩そうだよな」

「それは確かにな」

ホイッスルが鳴って、先生が大声で集合と呼びかける。クリップボードを片手にペンを持ってカンカンとペンのノック先をボードに当て。生徒が集まったの確認すると出席を取り始めた。優はその生徒の人だかりの中で見回していると人がそれを遮って良く見えないが明るい夕日色と混じった茶髪に釘づけになった。

「……………………まさか……」