「優ってさ、本当に女子とかに目無いよな。」

「…なんだよいきなり…。」

購買で買ったお茶のペットボトルをユラユラと揺らしながら直元は怪訝そうな顔をしながら弁当を食べ終える優を待ちながらも話を続ける。

「お前頭良いし、運動神経とか良い癖して全然女子とかに目を向けないよな。」

「…まあ、な…」

「うわっ、自覚してんのか?!最低だな遊び人めっ!」

「はあ!?違うだろう!!」

ギャイギャイと言い合いに成って直元は優の弁当に詰まってた鮭の切り身を目に追えない速さで奪い取り余裕ぶった顔で口に放り込んだ。優は奪い取られた切り身の哀れな末路を見届けると溜息を着いて直元の頭を軽く叩いてやった。

「つーか、お前好きな奴とかいねえの?」

「…………………」

「え、いんのか!?」

「まあ…な…昔の話だ」

「教えろ、この垂らし優男ー!!」

「は?!…良いけどさ…」

しょうがないなと呟いて優はお昼が入ってた元い弁当箱を風呂敷に包み入れて、直元が素っ気なく渡してくれた飲みかけのお茶のペットボトルを逆さまにして喉の中に冷たい苦いお茶を流し込んだ。一息着くと、風が揺れ始め優は口を開いた。

「小一の頃に俺はある女の子と会ったんだ。家が偶然隣同士で、二年の時に仲良くなったんだ。可愛いって思える性格で…守りたいって思ったんだ。」

「へー、じゃあ幼馴染なのか?」

「まーな…でも」

「でも??」

ザザッ風が荒々しく吹き、直元は一瞬目を瞑った。吹き終わり開けるとそこには先程の冷静な態度を取る優の横顔では無く。

何かに後悔した様な寂し気な顔をしていた。

「優…??」

「ああ、悪い…………小五の冬の時に事故にあったんだ。俺は重傷を負って手術で一命取り留めたんだ。五日後に意識は戻ったけと、あいつは姿を消した。」