「今日からお前等の担任になる西田正幸だ。主に教える科目は社会！大目に見てやるがアホやったら張っ倒すからな」

入学式から二日経ち、清州高校に入学した一年生達の初日の授業。新しい教科書、ノートや文房具。随分慣れた感じで自己紹介する顔の整ったイケメン教師。
キッチリとスーツを着こなし出席簿をパラパラ漫画みたくページをパラパラと目に追えない速度で巡って行く。ヒソヒソと女子達は西田教師をチラチラ見ては頬を赤らめさせてカッコイイだの、綺麗だのと言ってはしゃぎ出す。そんな賑やかそうなクラスの中で一番右奥の席に座る屋櫻優は机に頬杖を着いてつまらなさそうに外の校庭を見る。散ってしまった桜の花弁と砂色の校庭の微妙な色合いは新鮮であって優は一つ小さな溜息を吐いて校庭から今度は机に頭を突っ伏す。

「ーーー、屋櫻優！！」

「あ、はい」

先程までの西田教師は優の知らない内に出席を取っていた。突然に名前を呼ばれた優にとっては早々出席確認だと気付くのに一分も要らずただ「はい」と返事すると目を逸らす。早く授業が終わって欲しい心の中でそう呟く優だったが…

「出席確認出来たから、各生徒呼ばれた奴から自己紹介な。じゃあ話聞いてなかった屋櫻！！」

「え！？なんで俺が！？」

「アホか聞いてなかったお前の責任だ。ほら、呼ばれたから自己紹介しろ。」

「…ハァ、分かりました。」

面倒くさそうに優はクラス全員の注目の的となりがらも、頬杖を着いて溜息を吐いて口を開いた。

「清州高校一年の屋櫻優。部活動にはスノボ部なんて合ったら良いと思ってる。中学は楯律中一貫校だった。よろしく」

たったの三行の自己紹介と出身の中学を淡々と間違い無く言った。唖然としたクラス全員は沈黙の場になるがワアアと小さな歓声が生徒の間で起こる。そんな事なんて優にとってはどうでもよく藍色の優の瞳は外を青空を見ていた。

「良い天気だな…。」

ボソっと呟いた優に数秒後。話を聞いてなかった事で西田教師からの愛ある鉄槌を頭に下されるのは言うまでもないが…