4月、新しいシーズンがやって来て小学生は中学生デビューし、中学生も高校生デビューして最終的には高校生から大学生でその後は社会人へと最終進化みたいなループが盛んに起きる月。

高校生デビューになればそれは尚更楽しくもあり苦しい青春を迎える事になるとも知らずに遊び半分の気持ちで高校生になる元中学生の子供の方が多いだろう。ニュースや10代半の世代の子供達に向けたテレビ特集番組でも高校生が多忙な理由は幾つか上がってる。一つ目は、中学から学んだ基礎的学力。それから新たに学ぶハードル高い問題。ケチ臭い応用問題を解いたりするのに時間が掛かったりして学生の貴重な1日は見事に潰される。

『これから、清洲高校第56回の入学式を行います。新入生は入場して下さい。』

そんな4月に清洲高校第56回の入学式が行われていた。新入生は制服の胸ポケットに桜のバッジ。そして、紅白の垂れ幕は上に掛かっていて新入生は入場の列を作って並び用意された椅子に着席する。

『では、新入生代表からの挨拶文を』

「はい」

新入生代表としてステージ前に立った若い少年は片手に持ってた丁寧に折られてた作文用紙を広げて、長々しい挨拶文を読み始める。よくある挨拶文のスタートは大抵今年やら、よろしくお願いします。とか、良く学校に対しての自尊心と誠意を示す様な文ばかりだ。眠気しか誘わない長々しい挨拶文は次第に木霊見たく体育館内に響いて来る。

「早く終わんねえかなー…入学式」

ポツリとその一言を言い小さな欠伸を掻く少年はその新入生の座る列の中にいた。黒い鴉みたいな前髪を揺らして、整った顔をした言わばイケメンなこの新入生はまた欠伸を一つ掻くとステージから天井の方を向く。

「…何処にいんだよ、…陽依」

やや寂しさを混じらせたこの一言なんて誰も聞こえず、過ぎ去る時間の中こうして入学式が終わった。